クリエイティブの「なんとなく違う」をなくす技術
INTRODUCTION
デザインや動画、コピーなどを制作しているとき、「悪くはないけれど、なんだか全体的に“なんとなく違う”気がする……」と感じたことはありませんか?
この違和感は、ものづくりに関わる多くの人が直面する壁です。しかし、言語化できないまま修正を繰り返しても、迷路にはまって時間だけが過ぎてしまいます。
今回は、クリエイティブの違和感を解き明かし、「狙い通りの表現」にたどり着くための思考をご紹介します。
SECTION. 01
なぜ「なんとなく違う」が生まれるのか?
クリエイティブの違和感が発生する最大の理由は、「目的の言語化が曖昧なまま、それぞれの主観で表現を選んでしまうから」です。
最初の前提やゴールのすり合わせが曖昧だと、プロジェクトに関わる全員が異なるイメージを描いたまま進んでしまいます。その結果、仕上がりを見たときにチグハグさが生まれるのは当然と言えます。
私たちが普段仕事として向き合うクリエイティブは、個人の作品づくりではなく、課題を解決するためのコミュニケーションです。だからこそ、感覚を言葉にしてチームの認識を合わせる必要があります。
SECTION. 02
なんとなくをなくす、3ステップ
「なんとなく違う」の迷路にはまらないために、「共通の明確な物差し(目的)」を持つための3ステップをご紹介します。
ステップ 1:プロジェクトの「軸」を決める
まずは土台となる目的を言葉にします。具体的には、「誰の、どんな課題を解決・提案したいのか」「伝わり方のゴールはどこか」をチーム全員で共有することから始めましょう。
例えば、「50代の、丁寧な暮らしを大切にしている女性」に向けた食品系のInstagram発信を想定してみます。ターゲットは「年齢とともに健康や体の変化が気になり始めている」という悩みを抱えています。そこに対して、単に商品をアピールするのではなく「上質な食品を取り入れる豊かなライフスタイル」を提案していく、という方針を固めます。
これを踏まえた伝わり方のゴールは、「ターゲットのフィードに投稿が流れてきたときに「私の好きな世界観だ」とパッと手が止まり、思わず試してみたくなる状態」です。
ステップ 2:決まった軸を「ペルソナ」で膨らませる
次に、”誰に”を深掘りしていきます。ペルソナのライフスタイルを一歩踏み込んで具体化します。
単に年齢などの数字で終わらせず、「普段どんなアカウントをフォローし、どんな部屋に住み、どんなことに『心地よさ』を感じる人なのか」をリアルに肉付けしていきます。
実際にスマホを触っている具体的な生活シーン(例:家事がひと段落したお茶の時間など)まで想像することで、チーム全員が同じ人物像を思い浮かべられるようになり、目指すべき方向性が鮮明になります。
ステップ 3:目指すイメージを細かく言語化する
ペルソナ像が見えたら、いよいよ具体的な形(デザイン・言葉・写真のトーン)へと落とし込んでいくステップです。言葉のズレを防ぐために、まずは参考イメージを集めた「ムードボード」を持ち寄り、要素を細かくひも解いていきます。
例えば、目指すトーン&マナーが「白を基調としたミニマルな空間」なのか、あるいは「木や緑に囲まれたオーガニックな雰囲気」なのかをすり合わせます。それに合わせて、カラーは「彩度を抑えたアースカラー」にするのか、「清潔感のある淡いパステル」にするのかを選定し、フォントや言葉遣いも「洗練された細めの明朝体」か「親しみやすい手書き風」か、といったレベルまで具体的に落とし込んでいきます。
このように、作る前に「このビジュアルや空気感が正解だね」というポイントを具体的にすり合わせて共通言語を作っておくことで、チーム間の認識のズレをなくし、アウトプットのブレを防ぐことができます。
SECTION. 03
迷ったら「ターゲットの視点」に立ち返る
3つのステップを踏んでいても、制作の途中で「なんか違うな」と迷うことはあります。そんなときは一度パソコンの画面から目を離し、徹底的に「受け取る人の気持ち」になりきってみましょう。
・ターゲットが普段「心地よい」と感じている表現とズレていないか?
・どんなシチュエーションで見られるのか?(忙しい朝か、夜のくつろぎタイムか?)
自分たちのこだわりや主観から離れ、相手の文脈に立ち返ることで、引き算すべき無駄な要素や、本当に強調すべきポイントがクリアになります。
SECTION. 04
まとめ
違和感は、クリエイティブを良くするための「ヒント」
クリエイティブにおける「なんとなく違う」という感覚は、決して悪いものではありません。あなたの感性が「もっと良くできるポイントがあるよ」と教えてくれているサインです。
大切なのは、その違和感を放置せず、次のプロセスを踏むことです。
・ペルソナを具体化して、目指す印象の「軸」を作る
・参考を分析して、正解の要素を「言葉(共通言語)」にする
・迷ったときは、徹底的に「相手の視点」に立ち返る
感覚をロジックに変換する技術を身につければ、チームのコミュニケーションもスムーズになり、より確度の高い「届くクリエイティブ」を作ることができるようになります。日々の制作やディレクションの中で、ぜひこの視点を取り入れてみてください。